研究活動

研究例会

受付終了

2024年度 第1回研究例会
科学技術革新による社会再編の可能性:知/無知の境界線への視座

近年、情報過多の時代において「無知学(agnotology)」や「無知研究(ignorance studies)」への注目が高まっています。これは、気候変動否定やワクチンへの疑念など、「戦略的無知」が社会に与える影響を研究する新しい領域です。

本研究例会では、制度化された無知の形態について、医学上の診断や生命倫理、生殖医療技術を事例に、第一線の専門家を招いて最新の研究成果を共有し議論します。認識論、科学技術社会論、メディア研究など、多様な分野からの参加をお待ちしております。

開催日時

 2025年3月1日(土)14:00-17:00

報 告

古俣めぐみ(岡山大学)、村瀬泰菜(東京大学大学院)

討論者

 井口 暁(中央大学)

会 場

Zoomによるオンライン形式で開催

研究例会への参加を希望される方は、2月27日(木)までに、以下のリンク先のGoogle Formに必要事項を記入し、送信して下さい。前日までにオンライン参加に必要な情報をお知らせいたします。
【締め切りました】

連絡先

 立教大学文学部 堀内進之介研究室
東京都豊島区西池袋三丁目34番1号
E-mail: s-horiuchi[at]rikkyo.ac.jp ※[at]を@に置き換えてください

担当研究委員

担当理事: 赤堀三郎(東京女子大学)、堀内進之介(立教大学)
研究委員: 馬渡玲欧(名古屋市立大学)、柳原良江(東京電機大学)

◆報告要旨

「日本における脳死論争と『無知』」

古俣めぐみ(岡山大学)

 agnotologyの主要な探究対象である「戦略的無知」には、道徳的観点からあえて選択される「有徳な無知」も含まれる。「有徳な無知」概念は、何が「有徳」なのか、誰がそれを判断するのかといった点でさらなる検討が望まれている。
 本発表では、「戦略的無知」生産の事例として、日本における脳死に関する情報の選択的流通に焦点を当てる。日本では、脳死者の具体的な特徴や臓器摘出時の脳死者への処置に関する情報は、積極的に公表されるものとほぼ扱われないものに分離されてきた。そうした状況を「戦略的無知」の生産という観点から分析し、脳死に関する情報の選択と「有徳な無知」との関係を検討することで、agnotologyの理論的考察を深めることを試みる。

「生殖をめぐる政治と『無知』――チェコ共和国における代理出産の法制化について」

村瀬泰菜(東京大学大学院)

 2000年代後半から、「無知」を対象とした事例研究があらゆる学術分野で増加している。しかし、無知研究(ignorance studies)において、生殖の問題を扱った研究は寡少なままである。一方でリプロダクティブ・スタディーズの文脈では、1980年代頃からフェミニスト研究者たちによってリプロダクティブ・ヘルスに関連する無知/無視(ignorance)の問題が指摘されてきた。本発表では、それらの研究蓄積を無知学の視点から捉え直す試みを踏まえながら、今日欧州で「国境を越えたリプロダクティブ・サービス」の主要な受入国となっているチェコに着目し、代理出産の法制化をめぐってどのような価値やアクターが無視され、その結果いかなる問題が生じているのかを検討する。

(文責:堀内進之介)